仏塔の源流:アジャンター石窟

アジャンター石窟 第19窟
マハーラーシュトラ州、インド
5世紀末

 世界遺産として有名なアジャンター石窟のチャイティア窟も見てみましょう。アジャンター石窟には、バージャー石窟やサーンチー第1塔に近い1世紀頃のチャイティア窟もありますが、ここにお示ししたのは、それより少し後の5世紀末に造営された第19窟です。天井までの高さは約7.4mあり、奥には仏塔が天井に向けて伸び上がるかのように彫り出されています。よく見ると仏像もあらわされていますね。仏像は紀元前後頃には、すでに造像されるようになっていましたが、やがて、ご覧のような仏塔に仏像を組み込んだ例も登場するようになります。また、仏塔の覆鉢よりも下の部分では、さらに方形の基壇が彫刻され、もともとの半球が強調された仏塔から、より縦方向への上昇志向が強い仏塔へと変化していることがわかります。このような、仏像をあらわす点や、上昇志向が目指される点は、後にとりあげる中国の仏塔やボロブドゥールの造形を考える上でも、重要なポイントになります。

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