ボロブドゥールの浮彫:仏伝「尼連禅河での沐浴」

ボロブドゥール第1回廊
8~9世紀
中部ジャワ州マグラン県、インドネシア

 上段にあらわされたのは「尼連禅河(にれんぜんが)での沐浴(もくよく)」の場面です。厳しい修行をした釈迦ですが、結局、良い結果は得られませんでした。弱り切った釈迦に対して、スジャータという女性が乳粥を提供し、やがて釈迦は元気をとりもどします。そしてこの場面のように、尼連禅河(にれんぜんが。ガンジス川の一支流であるニランジャナ川のことです)に入って、沐浴し身体を清めました。
 画面の右にあらわされたのが、尼連禅河で沐浴する釈迦です。釈迦の周囲には花がちりばめられ、右上の天の仙人から祝福される様子となっています。

 ちなみに、下段にあらわされたのはアヴァダーナ(釈迦の弟子や敬虔な仏教信者の物語)のうち、『仙道王物語』の一場面です。悪政をおこなう頂髻王によって追放されてしまった大臣が、財宝を満載した船で新天地へと向かい(画面右)、到着した陸地で、布施事業を行っている様子(画面左)があらわされています。

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