ボロブドゥールの浮彫:仏伝「托胎霊夢」

ボロブドゥール第1回廊
8~9世紀
中部ジャワ州マグラン県、インドネシア

 第1回廊の主壁(仏塔側)には、上下二段にわたって浮彫が配置されており、上段は釈迦の生涯をあらわす仏伝(ぶつでん)の各場面、下段は釈迦の前世の物語である『本生譚(ジャータカ)』などをあらわしています。
 ここからは、第1回廊の仏伝浮彫のうち、5つの場面をピックアップして紹介します。まずは「托胎霊夢(たくたいれいむ)」の場面です。
 釈迦の母となるマーヤー(摩耶夫人まやぶにん)は、ある夜、白い象がお腹の中に入る夢を見たことをうけて、赤ん坊(釈迦)を身籠もることになります。上段画面の中央にはベッドの上で横たわる女性があらわされています。これが就寝中のマーヤーです。その向かって左には傘蓋(さんがい)をともなった象が確認できますね。これがマーヤーの夢の中の様子というわけです。釈迦は、カプラバストゥの王子様として生まれてくるので、それに相応しいようにマーヤーの周囲が豪華な宮殿の寝室らしく表現されています。マーヤーの背後には、お仕えする人々もあらわされています。

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