古銭の収集家
01.吉金所見録

タイトル:吉金所見録
資料番号:FB.291.25


 初尚齡(1759 - 1841),字渭園,清の古銭収集家,本書は生涯にわたり古銭を蒐集し,分類整理したものです。1819年に上梓し,1825年に出版しました。全16巻,先秦から明末までの歴代の古銭を時代ごとに考察し,作中の古銭のイラストは1200枚にのぼり,自らの所蔵に加え,友人や他の収集家からの古銭の拓本も参考にした言われます。本書は刀銭(刀の形をした貨幣のこと)の起源を春秋戦国時代と推定したところが注目されます。本書も中国における貨幣研究の先駆けとして位置づけられ,18世紀末までの貨幣についての先行研究は皆無に等しく,本書が出版されたことはその空白を埋め,著者も該当分野の第一人者として高く評価されました。

meishi.jpg

 もう一つ注目されたいところは,ロックハート卿旧蔵の本書の表紙の裏には,赤い紙に「于志聖」が墨書されており,この赤い紙は清の時代によく使われていた「名刺」です。おそらく「于志聖」という人物からこの書物をもらったと推測されます。ロックハート卿はプレゼントとしてもらった書物に記録を残す習慣があるようで,本書のように名刺をのり付けする場合もありますが,書物に直接メモを残すことも良く見られます。

arrow_upward