白と黒の「10万本の矢」
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「孔明 計(はかりごと) 周瑜を伏す」
桂宗信・画 『絵本三国志』
天明八年(1788)額田勝兵衛ほか
広島大学図書館蔵
『三国志演義』46回に、諸葛亮が呉国の将軍周瑜に対し、3日のうちに10万本の矢を用意すると約束し、それを見事に成し遂げるというエピソードがあります。諸葛たちの船は霧の中に曹操軍に近づき、鐘や太鼓で脅しをかけ、曹操軍が射かけてきた大量の矢を船に積んだ稲わらで受け、刺さった矢を自軍のものにした。
たちこめる深い霧を圧巻の白い画面で描いた桂宗信、迫り来る矢の脅威を不気味な黒い画面で書いた歌川国安。これぞ白黒つけがたい勝負です。
「孔明 霧中に敵を謀る」
歌川国安・画 『三国志画伝』
天保一~六年(1860-65)鶴屋吉右衛門ほか
国立国会図書館蔵