ビジュアル・ツアー『三国志平話』 03 張飛の大暴れ

【11】張飛が太守を殺す

(黄巾討伐の英雄である劉備は安喜県の県尉の職を得た。ところが上司にあたる定州太守が、劉備にパワハラをする。)それにキレた張飛は、夜中に太守の屋敷に忍び込み、その一家を殺してしまう。

右面には太湖石と芭蕉、柳。ひっそりとした闇夜の静まりを表現しています。左面は暗殺者張飛の犯行シーン。右面から左面への場面の移行、左右の対比が、緊迫感・恐怖感をより高めます。一見、右面は不必要にも見えるが、けして無駄ではないのです。

張飛は自陣営以外の上役には、とりあえず反発し、口論や殴り合い、殺害にまで至ります。トラブルメーカー張飛は、この後もトラブルを起こし続けます。

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【12】張飛が督郵を鞭(むち)うつ

(太守殺害事件を調べるため、朝廷は督郵を派遣した。督郵が劉備が犯人だろうと問い詰めると、)張飛は督郵をとらえて、馬留の杭に縛り上げて鞭で打ち(この時代の鞭は棒状)、やはり殺害してしまう。


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【15】董卓が権をもてあそぶ

西涼の黄巾軍を自軍に引き入れた太師董卓が、中央政界の実権を握り、皇帝の権威を軽んじる。(董卓の横暴を見過ごせぬ諸侯たちは、献帝の密命を受けて、虎牢関に集まり決戦に臨む。)

画面右側の中央に描くのは、漢の最後の皇帝である献帝。「惰弱」と表現されているが、皇帝はいつでも大きく描かれる。左面に大きく描かれた人物が董卓。

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国立公文書館内閣文庫蔵『全相平話』『至治新刊全相平話三国志』巻上

11葉・12葉・15葉の図像部分「張飛殺太守」「張飛鞭督郵」「董卓弄権」

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