和刻本『朝鮮賦』の板木

『朝鮮賦』板木(鏡像表示) 再版年不明
横42.2×縦23.5cm
奈良大学博物館所蔵(T1255)

『朝鮮賦』は、詔を承けた薫越が朝鮮に下り、朝鮮の山川、風俗、人情、物体を、韻文の一種である「賦」の形式で記した書です。薫越が朝鮮に下ったのは弘治元年(1488)春、5月に帰国し、同年鴎陽鵬引と王政後序、嘉靖10年(明の年号、1531)に、朝鮮の永順太斗南の跋があるため、中国で出版された後に朝鮮で翻刻され、さらに日本で正徳元年(1711)年に出版されたようです。
展示品はその和刻本『朝鮮賦』の板木です。残念ながら板木は一部(四丁張6枚)が失われ、現在は9枚のみが現存しています。この9枚は、板木の形式が初版年とは合わないため、部分的に再版した折の板木と考えられます。なお、板木は現存していませんが、初版以降、安永5年(1776)9月以前に「朝鮮国八道之図」が増補されていました。


和刻本『朝鮮賦』板本 正徳元年(1711)
早稲田大学図書館所蔵(ヘ18_02663)

参考文献:
長澤規矩也編『和刻本漢詩集成』(1987、汲古書院)
水田紀久編『若竹集』(1975、佐々木竹苞楼書店)

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