現代に伝わる板木蔵

株式会社法藏館 板木蔵(内部)
幕末頃

天保2年(1831)創業の仏教書肆・西村屋七兵衛は、現在も京都市の烏丸正面東入で株式会社法藏館として営業を続けています。七兵衛自身の創業は天保期ながら、丁子屋・西村九郎右衛門からの分家独立であり、その系譜は寛永年間(1624-1645)にさかのぼります。現在の法藏館の社屋は近代化されていますが、江戸期の板木蔵は現代まで保存されており、明治期の板木を中心に1万枚程度の板木が現存しています。
江戸時代、出版の発祥地であった京都では多くの板元が活動しており、当然、それぞれに板木蔵や板木小屋が存在していたはずですが、法藏館以外に、当時のまま現存する板木蔵は例がありません。まとまった分量の伝来の明確な板木が保存されていることはもちろん貴重ですが、板木蔵ごと現存している点がさらに貴重と言えるでしょう。その内部には、滑車や墨壺、紙型など、出版活動を髣髴とさせるモノもいくつか収まっており、近世や近代にタイムスリップした感を味わわせます。

arrow_upward