アジアの板木

未詳板木(チベットの板木か)(鏡像表示)
横45.89x 縦16.61cm
個人所蔵


木版印刷が栄えたアジアの地域の一つに、チベットがあります。その代表格である徳格印経院(デルゲパルカン)は1729年の創建とされ、現在は30万枚の板木が現存していると言われており、中でもチベット大蔵経の板木が著名で、徳格印経院の大蔵経はデルゲ版大蔵経と呼ばれています。遺産化した板木ではなく、現代においても技術伝承が続いており、彫摺が行われています。チベットの板木の形式上の大きな特徴は、把手状の突起があることでしょう。展示品はチベットの板木と同様の突起を確認できますが、チベットの板木とは突起の形状がやや異なり、チベットの板木とは確定できません。材質も山桜を使用した日本の板木よりも、硬く密度の高い材が用いられています。このように、各国・各地域において、板に彫り込む点は共通していますが、それぞれの風土に合わせた方法が採られてきており、形式や材のみならず、彫摺の方法や用いる道具もそれぞれ独自のものがあります。

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