2018年1月11日、友禅型彫師の西村武志さんに友禅型紙の製作して頂きました。立命館大学アート・リサーチセンターが所蔵する友禅図案の中から一点を選び、2枚型としました。見本とした友禅の型枚数はそれよりも遙に多いのですが、それを簡便化して活用しやすくしました。また、西村さんオリジナルデザインの一枚型の型紙も製作していただきました。
これらの型紙を活用して唐紙を製作するためです。友禅の型紙を唐紙に転用する試みですが、すでに江戸からかみで行われています。板木では表現できないような細かな紋様や淡い色調やグラデーションを表現するために使用されているようです。
現在の京都でも、やや立体的に紋様が浮き上がる「置き上げ技法」では友禅の型紙が使用されていますが、一部の特殊なものに限られています。桐紋の場合、駒箆を使用しているため、「摺り友禅」の技法でボカシを表現することはできません。型紙を使用すれば立体的な「置き上げ技法」だけでなく、ボカシや刷毛目の表現ができます。板木以上に繊細な紋様も表現できます。ただし、板木を使用する技法では、刷毛とは異なる微妙なムラが生じますから、そうした好みの問題も関係すると思います。
早速、摺刷毛を使用してこの型紙の使用実験を始めたところ、板木を使用するよりも早く完成させることができました。しかし、慣れないためでしょうが、絵の具の分量の加減が難しく、刷毛に絵の具をつける度に大きなムラが生じてしまいました。板木では起こらなかった失敗でした。まだまだ実験段階ですが、板木を使用する唐紙と型紙を使用する唐紙の違いを比較検討してゆく予定です。