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赤間亮 教授


赤間教授

【専門領域】
日本の有形無形の文化財を対象にデジタルアーカイブの実践研究を進めています。とりわけ美術品や文化資源は、幕末から大量に輸出されることで、海外の博物館や個人が大量に所蔵しており、日本と海外の研究者との間で情報を共有する必要があります。また、能や歌舞伎、京舞などの伝統芸能を正しく理解する観客を育てていく手法開発も必要です。こうした状況を解決する方法としての新たなモデル構築に挑戦しています。

【著書・論文】
『歌舞伎・文楽 第四巻歌舞伎文化の諸相』(岩波書店)、『図説日本の演劇書 歌舞伎篇』(八木書店)、『イメージデータベースと日本文化研究』(ナカニシヤ出版)

DH02_book.jpg 『イメージデータベースと日本文化研究』

【最近の研究テーマ】
幕末期浮世絵揃物の研究、イメージデータベースと活用、歌舞伎の造形

【指導した大学院生の修士・博士論文】
「板木デジタルアーカイブ構築と近世出版研究への活用」、「近世の大衆文芸と白話小説―「水滸伝」の受容をめぐって―」、「近世期春画・艶本研究の一試論」、「近世演劇及び演劇資料におけるパターン利用の発想と方法」

【所属学会/受賞歴等】
歌舞伎学会、国際浮世絵学会、日本近世文学会、アート・ドキュメンテーション学会、1989歌舞伎学会奨励賞・2007上野五月奨励賞

【専門領域での推薦学術書】
『日本文化デジタル・ヒューマニティーズの現在』(ナカニシヤ出版)、中野三敏『江戸の出版』(ぺりかん社)、中村幸彦『戯作論』(著述集第八巻)(中央公論社)

【大学院志望者へ一言】
領域を越えた視点、国際的な視野からのハイブリッドな日本文化研究者が必要とされてきています。こうした学問状況のなかで、柔軟な研究姿勢を持ちながら自分自身の確たる柱を打ち立てていっていただきたい。

矢野桂司 教授


矢野教授

【専門領域】
地理情報システムを活用した人文地理学と学際的な地理情報科学を専門としています。国勢調査などの小地域統計を用いたジオデモグラフィクスや、人や物の空間的相互作用などに関心があります。また、アート・リサーチセンターにおいて、デジタル・ヒューマニティーズ、とりわけ京都の歴史GIS研究を展開し、バーチャル京都を構築しています。京町家、祇園祭などの京都の文化財に関わる、産官学地域連携のもとでの地理学的研究を実践しています。

【著書・論文】
『歴史都市京都のGIS』、『デジタル地図を読む』、『バーチャル京都』(ナカニシヤ出版)、『地理情報システムの世界』(ニュートンプレス)など。

virtualkyoto.jpg class= 『バーチャル京都』

【最近の研究テーマ】
ジオデモグラフィクス、歴史都市京都のGIS、バーチャル京都の利活用、京町家のGIS、祇園祭、地理学的研究など。自治体・教育分野へのGISの普及。

【指導した大学院生の修士・博士論文】
「地方自治体における非図面管理部門での統合型GISの活用に関する研究」、「ミクロレベルにおける都市モデリングの手法の構築」

【所属学会/受賞歴等】
日本地理学会、人文地理学会、地理情報システム学会、など。日本学術会議連携会員。日本地理学会研究奨励賞授賞、ディジタル・シルクロード賞、シンフォニカ統計GIS活動奨励賞

【専門領域での推薦学術書】
『現代地理学の潮流』(R. J. ジョンストン著、1997・99、地人書房)『Geographic Information Systems and Science』(Longley, P. et al, 2010, Wiley)

【大学院志望者へ一言】
地理情報システム(GIS)と地理情報科学(GISc)に関わる地理学的研究を、国内外で実践するには、最も適した大学院です。とりわけ、本大学院は、デジタル・ヒューマニティーズの視点からGISを用いた歴史都市京都を対象とする研究としては唯一の大学院です。

湯浅俊彦 教授


湯浅教授

【専門領域】
「デジタル環境下における出版ビジネスと図書館」が主な研究領域です。電子出版と電子図書館がどのような方向性を目指していくのか。読者・利用者のために出版界と図書館界の新たなモデルを構築することを探求しています。

【著書・論文】
『日本の出版流通における書誌情報・物流情報のデジタル化とその歴史的意義』(ポット出版)、『電子出版学入門 改訂3版』(出版メディアパル)

yuasa_book.jpg 『電子出版学入門』

【最近の研究テーマ】
国立国会図書館の所蔵資料の大規模デジタル化や「電子納本制度」の導入など、図書館界における出版コンテンツのデジタル化とその利活用を中心に研究を進めています。

【指導した大学院生の修士・博士論文】
「地方自治体における非図面管理部門での統合型GISの活用に関する研究」、「ミクロレベルにおける都市モデリングの手法の構築」

【所属学会/受賞歴等】
日本出版学会、日本図書館情報学会、日本図書館研究会、日本マス・コミュニケーション学会

【専門領域での推薦学術書】
箕輪成男『出版学序説』(日本エディタースクール出版部)、原田勝・田屋裕之編『電子図書館』(勁草書房)、ジャン- ノエル・ジャンヌネー『Google との闘い』(岩波書店)

【大学院志望者へ一言】
写本の時代に活版印刷が現れ、次第に活版印刷物が主流になったように、電子出版もまた、著作を伝達し、継承し、保存していくという観点からすれば新たな、そして大きな転換期をもたらすものです。したがって、この領域の研究には既存のメディアを相対化する柔軟な思考こそが求められるのです。

八村広三郎 教授


八村教授

【専門領域】
元々の専門は工学で画像情報処理の分野ですが、大学院を出て最初の就職先が、国立民族学博物館であったことから、人文科学におけるマルチメディア技術の応用という分野に長くかかわっています。本学情理工学部に移ってからも、コンピュータグラフィックス、バーチャルリアリティ技術を人文系の研究に利用するという観点で研究しています。99年ごろから、モーションキャプチャを使った無形文化財のデジタルアーカイブの研究を開始し、最近はその延長として、祇園祭バーチャル山鉾巡行システムの研究をしています。

【著書・論文】
八村広三郎, 田中弘美編『デジタル・アーカイブの新展開』ナカニシヤ出版, p.342, 2012年3月 Worawat Choensawat, Sachie Takahashi, Minako Nakamura, Woong Choi, and Kozaburo Hachimura, Description and Reproduction of Stylized Traditional Dance Body Motion by Using Labanotation, 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol.15, No.3, pp.379-388, 2010.

DH06_book.jpg 『デジタルアーカイブの新展開』

【最近の研究テーマ】
無形文化財のデジタル・アーカイブ、祇園祭のバーチャル山鉾巡行、仮想巡行体験、古典籍の画像解析、類似画像検索 など

【指導した大学院生の修士・博士論文】
Worawat Choensawat, Integrated Dance Body Motion Archiving Using Dance Notation and Motion Capture (理工学研究科・博士論文) 2011

【所属学会/受賞歴等】
情報処理学会、電子情報通信学会、画像電子学会、日本バーチャルリアリティ学会、芸術科学会 など

【専門領域での推薦学術書】
Schreibman, Siemens, and Unsworth, A Companion to Digital Humanities, Blackwell Publishing, 2004. Cameron and Kenderdine, Theorizing Digital Cultural Heritage: A Critical Dicourse, MIT Press, 2007

【大学院志望者へ一言】
長い間、人文学の研究対象は紙に書かれた文書や記録、書物、絵画などが中心でした。最近ではこのような資料類、各種の文化財などが画像技術を使って精密にデジタル化され、ネット上で公開されて多くの研究者がこれを利用することができるようになりました。これがデジタル・ヒューマニティーズという考え方を生む原動力になっています。今から20年後の世の中を考えると、人文学の研究もデジタル技術を今以上に活用するものになっていることは間違いありません。新しい人文学へ挑戦する人を求めています。

河角龍典 准教授


河角准教授

【専門領域】
平安京や平城京など古代都市遺跡の環境考古学とGIS(地理情報システム)を専門としています。遺跡の発掘調査が対象とする表層地質に記録されている情報から地形形成過程を把握し、また災害史を構築することに関心があります。また、デジタル人文学にも関心があり、GISとCGを用いながらバーチャル平安京や長岡京の3次元都市モデルを構築し、景観シミュレーションの研究も進めています。

【著書・論文】
「3次元都市モデルを用いた古代都市の景観分析-バーチャル長岡京・平安京で見る都市の中軸線と山並みの関係-」文部科学省グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」(立命館大学)監修・矢野桂司・中谷友樹・河角龍典(立命館大学)編『シリーズ 日本文化デジタル・ヒューマニティーズ03 京都の歴史GIS』ナカニシヤ出版、2011。

DH06_book.jpg 『京都の歴史GIS』

【最近の研究テーマ】
ハンディジオスライサーを用いた伊勢平野中部の海岸低地の形成過程や災害史の研究を進めています。

【所属学会/受賞歴等】
人文地理学会、日本地理学会、日本文化財科学会など
第2回日本文化財科学会奨励論文賞 (2009/07)
第2回日本文化財科学会ポスター賞 (2008/06)

【専門領域での推薦学術書】
『Principles of Geoarchaeology: A North American Perspective』(Michael R. Waters, 1997, University of Arizona Press )

【大学院志望者へ一言】
自然地理学・歴史地理学・環境考古学・ジオアーケオロジーの方法を適用した遺跡の古環境復原、空間情報処理、ビジュアライゼーションに関する調査・研究をサポートします。

鈴木桂子 教授


鈴木教授

【専門領域】
専門の視覚文化研究は、視覚や視覚的過程の文化的構築に注目し、1990年代初めから急速に研究が進んできた学術分野です。視覚文化研究・文化人類学・表象論の観点から、国境を越える視覚文化・物質文化に注目し、それらに表現される異文化理解・異文化交流を研究しています。これにより、そういう文化の生産・消費に関わった様々な社会集団(ジェンダー・人種・民族性・階級などによる)とその文化を研究しています。

【著書・論文】
「浮世絵にみる他者の構築―「唐人」という視点から考える」(『風俗絵画の文化学Ⅱ 虚実をうつす機知』(松本 郁代, 彬子女王, 出光 佐千子:共編、 思文閣出版、2012)

DH06_book.jpg 『風俗絵画の文化学Ⅱ』

【最近の研究テーマ】
(1)浮世絵における他者の視覚的表象
(2)20世紀における「きもの」文化の国際化というテーマで、国際観光芸術や輸出品としての「きもの」の研究をしています。

【所属学会/受賞歴等】
Association for Asian Studies, Japanese Art History Forum, 国際日本学会, ヨーロッパ日本研究協会

【専門領域での推薦学術書】
『Visual Culture: Images and Interpretations』(Norman Bryson et al., eds. 1994. Wesleyan University Press.)

【大学院志望者へ一言】
文化を情報と考えると、それは地域に限定されず、また様々な学際的な研究の可能性が見えてきます。世界の中の日本文化の確固たる専門知識を学び、オリジナリティのある研究を柔軟にアウトプットする研究姿勢を身に付けましょう。

原島 博 客員教授


原島客員教授
(撮影:中村年孝)

【専門領域】
もともとは情報理論を中心とする数学の理論の美しさに魅せられて研究者となりましたが、一貫してコミュニケーション工学を専門として、人と人の間のコミュニケーションを、リアルとバーチャルの両側面から技術的にサポートすることに関心を持ってきました。また人の顔にも興味を持ち、顔学の構築と体系化に尽力してきました。最近では、理系と文系さらには科学と芸術を融合した新しい学問体系の構築に関心を持っています。

【著書・論文】
原島博「顔学への招待」,岩波書店,1998年6月
原島博編著「画像情報圧縮」,オーム社, 1991年8月
宮川洋,今井秀樹,原島博「情報と符号の理論」岩波書店,1983年1月

harashimabooks.jpg 『顔学への招待』

【最近の研究テーマ】
顔画像処理(顔表情解析、顔印象解析、平均顔など)、顔学の提唱と体系化、ヒューマンコミュニケーションメディア、情報環境のデザイン、コンテンツ創造など。

【所属学会/受賞歴等】
電子情報通信学会、映像情報メディア学会、日本バーチャルリアリティ学会、日本顔学会ほか

【大学院志望者へ一言】
大学院では、それぞれの専門分野をより深く探求することは当然として、あわせて関連分野への関心をより広く持つよう心掛けることを勧めます。また学会などを通じて国内外の研究者とのネットワークづくりに努めてください。それは研究者としての貴重な財産となります。

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