株式会社マリア書房

株式会社マリア書房は、大正14年(1925)に「マリア画房」として創業。近世期木版画の復刻や、近代日本画家の木版画、原色版による文化財の複製を手がけ、美術出版社としての地位を確立していく。一方で工芸分野に進出し、染織図案集の刊行や和装デザインなどにも活躍の場を広げ、大手百貨店の高級呉服の作品集などを担当するようになる。昭和49年(1974)に美術部門をアート社出版として分社し、工芸部門を担当するマリア書房との2社体制となったが、昭和57年(1982)にはアート社出版をマリア書房に吸収合併した。「アートグラフ」(後の季刊「アート」)、「キモノボーグ」、「古美術緑青」(後の「骨董緑青」、現「ROKUSHO」)といった定期刊行物への積極的な取り組みも、マリア書房の出版活動の特徴である。現代作家、創作活動のための素材情報やノウハウ提供などに活動の場を広げ、電子書籍の刊行にも進出しつつ、現在に至っている。マリア書房旧蔵の木版画の板木590点は、研究資料として奈良大学に収蔵されている。現存する板木には、上村松篁、山口蓬春、大山忠作、古沢岩美、梶原緋左子など著名な日本画家の作品が含まれている。今回展示したのは、四代目長谷川小信の作品である。