No.10A~I 十巻章

No.10A 菩提心論   藤井文政堂所蔵(FK0268)
享保17年(1732)
丁付:一ウ
縦19.0×横13.2×厚0.6cm

No.10B 菩提心論 柱材   藤井文政堂所蔵(FK0009)
享保17年(1732)
丁付:一
縦1.9×横20×厚0.5cm

No.10C 菩提心論   藤井文政堂所蔵(FK0129)
享保17年(1732)
丁付:一オ
縦20.5×横13.2×厚0.6cm

No.10D 即身成仏義   藤井文政堂所蔵(FK0209)
享保17年(1732)
丁付:四オ
縦20.4×横13.0×厚0.7cm

No.10E 声字実相義   藤井文政堂所蔵(FK0263)
享保17年(1732)
丁付:一オ
縦19.8×横13.2×厚0.6cm

No.10F 吽字義   藤井文政堂所蔵(FK0093)
享保17年(1732)
丁付:一オ
縦20.6×横13.0×厚0.7cm

No.10G 弁顕密二教論 上   藤井文政堂所蔵(FK0203)
享保17年(1732)
丁付:一オ
縦20.4×横13.0×厚0.6cm

No.10H 秘蔵宝鑰 上   藤井文政堂所蔵(FK0107)
享保17年(1732)
丁付:一オ
縦20.4×横13.0×厚0.7cm

No.10I 般若心経秘鍵   藤井文政堂所蔵(FK0174)
享保17年(1732)
丁付:一オ
縦20.0×横13.2×厚0.8cm

 袋綴じ板本の板木は、片面に2丁ずつ、表裏両面で4丁を彫った四丁張、片面に1丁ずつ、表裏両面で2丁を彫った二丁張であることが多い。現存する板木の大半は、この2種類で占められるが、本展示品は、板木が丁の表・柱・裏に分れている極めて特異な板木である(展示No.10A~C)。内容は「十巻章」と呼ばれる真言密教の基礎テキスト「即身成仏義」(1巻、展示No.10D)、「声字実相義」(1巻、展示No.10E)、「吽字義」(1巻、展示No.10F)「弁顕密二教論」(2巻、展示No.10G)「秘蔵宝鑰」(3巻、展示No.10H)、「般若心経秘鍵」(1巻、展示No.10I)、「発菩提心論」(1巻、展示No.10A~C)の計10巻、いわゆる「十巻章」である。「十巻章」と言えば高野版が想起されるが、展示品は高野版ではなく、智山派が刊行に関与したもの。板木のところどころに釘穴が認められることから、丁の表・柱・裏を釘で固定した上で摺刷を行ったものと思われる。実際、藤井文政堂には昭和30~40年頃まで摺刷に使う枠板が現存していたらしい。近代摺の板本においては、周囲の枠(あるいは詰めもの)の痕跡が版面に表れている例も散見される(No.10N)。342点が現存するが全揃いではなく、4丁単位の欠落が数ヶ所にある。