隈取

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くまどり


総合


歌舞伎

歌舞伎独特の化粧法の一つ。江戸の荒事劇から始まり、時代物一般に用いられる。 顔面に隈をとって、表情を誇張する方法をいう。中国演劇の瞼譜に類似しているので、初世市川団十郎が中国の瞼譜から工夫して、荒事の化粧法に用いたと言われるが、確証はない。中国の瞼譜は大体において役柄のタイプの表現だが、歌舞伎の隈取はタイプよりは扮する人物の個性から生ずる表情を誇張し、固定化したものといえる。また、筋肉や静脈の躍動を表徴するものともいう。 隈取が最初に用いられたのは、延宝元年(1673)初世団十郎がまだ段十郎と称していた十四歳のとき、江戸中村座で坂田金時に扮し、紅と墨とで顔に隈どって好評を得た時だといわれる。その後市川家の「荒事」には最も適した化粧法となって、他の俳優もまねるようになり、主としてロマンチックな類型を好む江戸歌舞伎で発達し、演出が様式化されるにつれて、隈取が完成を見たのは、七世市川団十郎(1852頃)によってである。 隈を描く根本色は紅、藍、塁の三色で、さらに黛赫、紫、金などを加えることもある。種別は百種に及ぶが、大別すれば紅を主とした紅隈と、藍を主とした藍隈に分けられる。一本隈二本隈で代表される筋隈や、猿隈むきみ隈、「火陥隈」などは紅隈に属するもので、紅色によって正義、超人力の熱情を表現している。 藍色は恐怖や悪の陰性の類型を表現し、「車引」の時平、「」の公家悪や、嫉妬心を象徴した「般若隈」は藍隈の主なるもの。その他藍隈には「不動隈」や、茶色を加えた「土蜘隈」のように、神仏または動物を表現したものもある。少し変ったものでは、紅色で描いた戯隈や、藍で描いた肝癪隈のようなのもある。 その他、「芝翫隈」「鬼女隈」など。


画題

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解説

東洋画題綜覧

単に隈ともいふ、俳優の扮粧に際し顔を彩る種々の線で、いろいろと式があり、色彩からいへば、紅隈、藍隈、墨隈の三種に分ち、形の方からいへば、一本隈、筋隈、火焔隈、剥身隈、猿隈、狸隈、半隈、薄肉などがあるし、役の方では、化身、不動愛染、般若などがある、一本隈、筋隈は市川家の荒事に多く、藍隈は悪公卿、猿隈は朝比奈、火焔隈は千本桜鳥居前の忠信などの例である。 (『東洋画題綜覧』金井紫雲)