2018年1月11日、友禅型彫師の西村武志さんに友禅型紙の製作を依頼しました。立命館大学アート・リサーチセンターが所蔵する友禅図案の中から一点を選び、2枚型としました。見本とした友禅の型枚数はそれよりも遙に多いはずです。ただし、それは省力化をした結果に過ぎません。また、西村さんオリジナルデザインの型紙を製作していただきました。

これらの型紙を活用して唐紙を製作するためです。友禅図案を唐紙に転用する試みですが、すでに歴史的に経験のあることで江戸では京都よりも友禅型を使用したものが多いようです。

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2017年に築造・焼成実験を行った「小型三角窯」の実験成果は、2017年11月26日にガレリアかめおかで開催された「アーティスト・トーク かめおかの土と焼き物を巡るおはなし」で紹介しました。ただし、一般市民向けの公開であったため、2018年1月14日、立命館大学朱雀キャンパス209号教室において、より専門的な検討を進めました。

丹波・篠窯跡群に特徴的な小型三角窯は、焚口が二つあること、支柱によって二重床面構造をとっていること、小型であることなど、同時代の須恵器窯とは大きく異なっています。その意味について、陶芸家と考古学研究者の間で意見交換を深めることができました。また、その検討を通じて来年度の計画についても協議しました。

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2017年11月3日~12月3日まで、ガレリアかめおか1階ロビーギャラリーにて、「つながる須恵器職人と私たち」展が行われ、篠窯跡群で発掘された小型三角窯の復元・焼成実験の成果が展示されています。

http://www.galleria.or.jp/eventinfo/exh_sueki

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本研究室も、ガレリア亀岡が主催する実験に積極的に関わってきました。地元の遺跡と地元の土に拘った陶芸家と考古学研究者のコラボレーションは、大変面白い試みです。2017年11月26日には参加した陶芸家のトークショーが開催され、木立が司会を勤めます。

展示解説には次のように説明されています。「このプロジェクトは、学術的成果だけを追求しているのではありません。このまちの歴史と文化を私たち自身がもっと深く知って発信したい、という想いに根差しています」。

陶芸家・綿引恒平さんは「あまり知られていない亀岡の大切な遺跡を市民に紹介したい」「全国的にも特殊で、謎の部分が多い小型三角窯を復元してみたい」「亀岡の土を使いたい」という、多様な希望をもっていました。陶芸家・清水志郎さん、明主航さんも「おもしろい」と言って綿引さんともに強力なチームを作っていただき、何人かの若手陶芸家にも協力して頂きました。考古学研究者にとっても、この試みは大変興味深く、ありがたいものです。そのため、考古学では石井清司さん、水谷壽克さん、高橋照彦さんと木立が参画し、大阪大学や立命館大学、滋賀県立大学などの学生も協力しました。

こうした活動に亀岡市文化資料館も連携しており、第62回企画展「亀岡の土から生まれた~響きあう造形美~」が10月28日から12月3日まで開催されています(有料)。11月3日~12月3日まで「三角窯ってどんな窯」(ロビー展。見学無料)も開催され、木立が製作したテスト・ピースも展示されています。また、講演会も企画されています。残念ながら、亀岡市文化資料館は独自のホームページをもっておらず、2017年11月5日現在、亀岡市役所の文化資料館のサイトでは展示会の案内も確認できません。「亀岡市文化資料館みんなで応援サイト」というフェイスブックで日時などが確認できます。

https://www.facebook.com/kameoka.museum/photos/rpp.455564921181084/1697700026967561/?type=3&theater

2017年10月3日~6日まで千葉市幕張メッセで開催されたシーテックジャパン2017で、ロームの折り鶴プロジェクトが紹介されました。

本研究室はロームの折り鶴プロジェクトに協力し、デジタルアーカイブを進めている京友禅図案(戦前)を提供しました。折り鶴プロジェクトでは、京都の伝統工芸とのコラボレーションを企画されていたため、本学京都学専攻でお世話になっている表具の宇佐見直治氏を紹介させて頂きました。その結果、宇佐見さんとともに金箔工芸の五明久さん、和紙の田中敏弘さんもご協力されました。お世話になって十分に存じあげていると思っていましたが、皆さんの技術力の高さと柔軟さに、改めて驚かされました。

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_DSC5979.JPG半導体メーカーであるロームは、その技術力を分かりやすく紹介するために2015年から折り鶴プロジェクトを公開してきました。2016年までの経緯や様子については、下記の紹介があります。

https://nge.jp/2016/12/29/post-137125

3年目に当たる今回は、「京都の会社」であるという原点に回帰し、京都らしさを活かそうとしたものになっています。伝統工芸の活用方法を試みている本研究室としては、そのような試みに関われ、大変よい経験になりました。下記に会場で流された解説映像がアップされています。

https://www.youtube.com/watch?v=tIsYrqqopdc

立命館大学国際平和ミュージアム第ミニ企画展示 第110回「京都の伝統産業と戦争-陶磁器の活用をめぐって」(2017年9月12日~10月4日、美術工芸研究会主催)に、本研究室で所有・管理している陶器製手榴弾・木銃などを貸し出しました。また、展示準備などの事前調査などにも協力しました。

http://www.ritsumei.ac.jp/mng/er/wp-museum/event/mini/2017/170910/mini_110th.html

2016年8月に五条坂京焼登り窯(元・藤平陶芸登り窯)の発掘調査を行い、戦前まで存在した「西の窯」の基底部が残っていることを確認しました。その成果は2017年5月28日に日本考古学協会総会で報告しました。

しかし、2016年の調査トレンチが狭かったため、その延長を確認すべく、補足でボーリング調査を行いました。その結果、調査トレンチ外にも窯壁の基底部が続いている可能性が高くなりました。かつて京都一の規模を誇ると言われた「西の窯」の痕跡が、想像以上に地下に残っているようです。

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2017年9月25日から同年11月2日まで、京都工芸繊維大学美術工芸資料館で展覧会「纏う図案-近代京都と染織図案Ⅰ」が開催されます。

http://www.museum.kit.ac.jp/20170925.html

木立研究室でデジタルアーカイブを進めている大橋商店の半襟図案(大正期)の中に懸賞付き図案が含まれています。その図案を展示に貸し出し、デジタル写真も提供しました。

展覧会は「明治期を中心に描かれた図案を産業・教育の両面から紹介し、京都における工芸・産業の発展の一側面をご覧いただきたい」という主旨で開催されます。図案の中でも、特に「懸賞付き図案」を中心に取り扱われるようです。本学の資料の位置づけを考える上で注目していますが、近代京都の工芸を考える上でも、大変興味深いテーマです。

考古学の遺物実測作業では、三角定規・直定規・キャリパー・マコとともに、仏式ディバイダーが不可欠です。すべて手作業で詳細な計測を進めています。

仏式ディバイダーは針を交換できないという難点はありますが、左手に土器、右手にディバイダーをもち、右手だけで土器の寸法を測るのにとても便利です。三角形になった部分が片手でディバイダーを広げたり、狭めたりするのに不可欠です。通常のディバイダーでは両手がふさがり、作業が非効率です。

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2017年8月17日から9月前半までの予定で、亀岡市・篠窯跡群の分布調査で採集した須恵器の実測、および、京都市・五条坂京焼登り窯で発掘した出土品の実測作業を行っています。実測をしてくれている学生・院生の腕前が徐々に向上しています。デジタル化を促進し活用している本研究ですが、考古学の世界では手作業による「実測」という作業がまだまだ欠かせません。遺物を詳細に観察して記録する作業は、遺物と対話する、大変貴重な時間です。

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篠窯跡群採集須恵器(「西前山3号地点」2017年4月新発見)

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須恵器実測の様子

2017年8月29日の京都新聞朝刊(丹波版)に「篠の窯復元、須恵器制作へ」と題して、「ガレリアかめおか」が主催している小型三角窯の復元実験の様子が紹介されました。木立も参加しています。

http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20170829000022

新聞に紹介された通り、実験は順調に進んでいますが、雨が多いため、完成した窯はなかなか乾きません。

2017年8月18日に完成した窯の状況確認をしたところ、天井が乾いていないだけでなく、窯内の窪んだ部分に雨水が流れ込んでたまっていました。排水水を作って窯内に水が溜まらないように工夫しました。また、天井にトタン屋根をかけて、雨が直接当たらないようにしました。トタンをかければ天井の乾燥を止めてしまいますが、今年は雨が多いため、苦肉の策をとりました。そのかわり、内部から強制的に乾燥させるため、七輪の炭火で今後一週間ごとに炙ることにしました。これから、しばらく乾燥の状況を確認します。

また、2017年8月18日には、現地で須恵器の製作実験も行いました。窯焚きを10月に予定していますが、その時に焼成する須恵器を大量に製作する必要があります。それをどのようにして作るのか、木立が復元した須恵器製作技法を紹介し、陶芸家の皆さんから意見を伺いました。清水志郎氏が持参された木製の伝統的な手回しロクロを使用しましたが、電動ロクロや現代の鋳物製手回しロクロとは大きく異なり、惰力が小さく、すぐに止まってしまいました。須恵器のロクロとその技術については、まだ未解明な部分がありますから、その問題を考える上で大変参考になりました。

陶芸家の方々で窯詰めする須恵器製作の役割分担を決めましたが、木立研究室では焼台を作ることになりました。現地の粘土を持ち帰り、8月24日~26日に粘土を練り、現在、現地粘土の焼成実験を行って収縮率を確認中です。

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8月18日 窯内に溜まった水を排水している様子

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同・七輪の炭火で強制乾燥している様子

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同・須恵器 杯の箆起こし実験の様子(手回しロクロは清水志郎氏所蔵品)