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まとめ

ゴールドラッシュの歌

サンフランシスコ近郊のサクラメントに金が発見されたのは1848年の1月でした。それが全米に知れ渡ったのは同年の12月。1849年には約8万人がカリフォルニアへ押し寄せ、ゴールドラッシュになりました。当時のカリフォルニアの人口は2万6千人ほどでしたから、とんでもない騒ぎになりました。ゴールドラッシュは、どこまでも大きな夢と深刻な幻滅の落差に特徴があります。人々は途方もない風評を信じ、全財産を捨て命をかけてカリフォルニアへの旅に出たのでした。そこで予想通りの富を得た人はほんのわずかでした。「へぼな鉱夫」という歌は、光る黄金を求めて旅に出た歌い手がカリフォルニアにだまされ、踏んだりけったりの苦難の末に財産も友人も失ったと嘆くものです。しかしその口調は、苦々しいとはいってもコミカルです。全面的に感傷的にならず、シニカルでユーモラスな部分を含むところがゴールドラッシュ・ソングの特徴といえます。

カリフォルニアの黄金は、女性をも西部へ引き寄せました(男性の移動に比べればわずかな数ではありましたが)。金鉱掘りとしてでなく、鉱夫相手の水商売や売春、洗濯や料理、旅館の経営など、仕事はいろいろありました。一攫千金を夢見る男についていく女もいたようです。少なくとも、スィート・ベッツィー*1 はそうでした。彼女は、恋人のアイクと旅をするうちどんどんたくましくなっていきます。カリフォルニアについてアイクと結婚はするのですが、じきに嫉妬のとりこになったアイクと離婚します。彼女の別れ言葉は、「あばよ、図体のでかいのろまなあんた。おまえが引っ込んで万歳さ」です(音楽1"Sweet Betsy From Pike"The Riverside/Folklore Series Vol. 3より)。この歌は人気があります。荒くれた西部にふさわしい女ベッツィーは、アメリカ人好みなのでしょう。


No.

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曲名

 出典

試聴

試聴

音楽1

Sweet Betsy From Pike

"Sweet Betsy From Pike"The Riverside/Folklore Series Vol. 3