6.2 せりふ正本(nakai0544)

せりふ正本は、歌舞伎役者の名せりふを抜き書きして刊行した小冊子で、正本というのは、根拠となる原本に忠実という意味である。中本で1冊が3~5丁であるが、当文庫のものは、それを数冊綴じているものが多い。実際の点数は、101点であるが、見かけは37冊である。nakai0544は、7点が綴じられているが、その題・芝居の外題・作者・上演年・劇場は下記の通りである。画像は、これらが一つの資料番号で処理されている。
01 (表紙欠)・岩盤花峰楠(いわおのはなみねのくすのき)・市川門之助・寬政2(1790)・市村座
02 しばらくのつらね・名歌座三舛玉垣・市川白猿・享和元(1801)・河原崎座
03 (表紙欠)・清和二代遨源氏(せいわにだいおおよせげんじ)・市川白猿・寛政8(1798)・都座
04 暫つらね・貞操花鳥羽恋塚(みさおのはなとばのこいづか)・市川団十郎・文化6(1809)・市村座
05 暫つらね・雪八嶋凱陣・市川団十郎・文化4(1807)・市村座
06 しばらくのつらね・大船盛鰕顔見世・市川男女蔵・寛政4(1792)・河原崎座
07 しばらくのつらね・花三舛芳野深雪・市川団十郎・寛政10(1798)・中村座
「つらね」=歌舞伎で顔見世狂言などのとき、おもな役者が、自分の名乗・物の趣意・由来・効能・名所づくしなどを、縁語・掛詞を使った音楽的なせりふ述べたもの、またそのせりふ。(日本国語大辞典)
 資料番号は、nakai0534-01からnakai0570までである。数冊が綴じられているものは、親番号に二桁の子番号を付けている。上記の「04」は、当文庫にしかないということである。