A0-2 頼光伝説概観.

「大江山鬼人退治」 四~六

絵師:長谷川小信 判型:大判錦絵 6枚組の内3枚
出版:明治20年(1887)
所蔵:舞鶴市糸井文庫  所蔵番号:01ル60.

【解説】
 6枚組の後半3枚である。土蜘蛛退治と酒呑童子退治という頼光伝説二つの柱が後半にまとめられている。(→A0-1

「四」 土蜘蛛退治を上下の二場面に分けて描かれる。下部は、宿直をする四天王が碁を指しているところで、茶組女やでは下女に扮して現れた土蜘蛛の手下を捕まえる金時、綱、季武らの様子が描かれている。逸話を描いた作品である。病に伏せる頼光(画面上部左)の元へ土蜘蛛(画面上部)が襲い掛かる。画面上部においては頼光、綱、貞光が土蜘蛛を迎え撃つ様が描かれ、(→A1

「五」 頼光一行が酒呑童子を探して、山伏の姿に身をやつして山入りし、川で血の付いた衣服を洗う姫君に酒呑童子の屋敷の場所を尋ねている。都からさらわれてきた姫君は、頼光らが鬼退治に来たと知り「これは夢か現か」と喜んで鬼の住家を教える。また渡辺綱の隣にいるのは、頼光らに重要な場面で力を貸す神の化身である。

「六」 館に着いた頼光一行は、酒呑童子にもてなしをうけ、酒宴の最中で、頼光が舞を披露している。神々から授かった神便鬼毒酒を飲んだ酒呑童子は酔って眠ってしまい、その隙をついて頼光らは攻撃を仕掛ける。斬りおとされた酒呑童子の首が宙に舞い、頼光の頭に噛みつこうとしている様子が異時同図法で描かれている。(→A2-1, A2-2, A2-3

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