C1.2.20 「忠臣蔵 七段目」「由良之助」

絵師:五粽亭広貞
出版:嘉永2年(1849)
判型:中判錦絵3枚続
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0595

 嘉永2年(1849)9月、筑後芝居での『仮名手本忠臣蔵』の上演に取材した中判3枚続の作品。描かれているのは七段目、祇園一力茶屋の場面。密書を盗み読んだおかるを由良之助が身請けするという話を聞いて、由良之助の身請け後におかるを殺そうという魂胆を見抜いた平右衛門。それならばと仇討ちの同志に加えてもらうために自ら妹おかるを殺そうとするのを、由良之助が兄妹の心底見届けたと制止するところ。由良之助は2代目片岡我童、平右衛門は4代目三枡大五郎、おかるは初代沢村其答である。

 おかるの衣装が遊女の衣装であった胴抜(どうぬき)(肩と袖半分、胴の部分を別布で仕立てた着物)で描かれ、座敷への昇降台として自然石を置いている点などに写実性を重んじた上方らしい舞台演出をうかがうことができる。