C1.2.11.03 「忠臣蔵拾弐段続」「七段目」「八段目」「九段目」

絵師:五粽亭広貞
出版:嘉永元年(1848)
判型:大判錦絵4枚揃のうち
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0335-03

 C1.2.11-01~04は、大判の画面を4つの方形の枠で区切り、1つに「忠臣蔵拾弐段続」のシリーズ・タイトル、残る3つに各段の場面や登場人物、象徴的な物を描く4枚揃のシリーズ。天保の改革の禁により、天保13年(1842)4月~弘化4年(1847)4月の間、役者絵の板行は中断していた。本シリーズは禁が解かれ役者絵が再開されはじめたころの作品。特定の上演に取材したものではなく、当代の人気役者を『仮名手本忠臣蔵』の登場人物に当てはめた見立絵で、役者名の記載はされていない。

 「忠臣蔵拾弐段続」シリーズの第3図。右方の長方形が「七段目 あしかる寺岡平右衛門」で、密書を盗み読んだおかるが由良之助に身請けされる話を聞いて、由良之助の身請け後におかるを殺そうという魂胆を見抜いた平右衛門が、仇討ちの同志に加えてもらうために自ら妹おかるを殺そうと刀を振り上げるところ。おかるが投げつけた懐紙が舞い散っている。この平右衛門は4代目中村歌右衛門の似顔である。左下の「八段目 忠臣蔵八段目路行」は、本蔵の妻戸無瀬と娘小浪が山科の大星家への嫁入りを願うため東海道を旅する場面の、三保の松原あたりの松と遠見の富士が描かれている。左上の「九段目」は、山科の大星閑居を訪ねてきた虚無僧姿の本蔵で、4代目()(ます)(だい)()(ろう)の似顔で描かれる。

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