B2-20-07 誠忠大星一代話 十一

絵師:豊国〈3〉
出版:弘化4年(1847)~嘉永1年(1848)
判型:大判錦絵
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP0676


 大石内蔵助と奉公人八介との別れの逸話が、「大石良雄自画像記」などに伝えられ、よく知られている。本図は、その内容を踏まえた場面を描く。勝助が(あるじ)由良之助との別れに当って金銭を望まないので、由良之助が画いた絵を与えると、「是ぞ望みの御かたみなり」と喜ぶ。遊所に通う侍とその供の画は、若き日の二人の姿だったのである。由良之助は初代尾上松助、勝助は初代嵐冠十郎の似顔となっている。

 尾上松助〈1〉 
1744-1815。後名初代尾上松緑。俳名は三朝・重扇・松緑。初代尾上菊五郎門弟。はじめ女方、後に立役に転じ、さらに実悪を本領とするようになった。文化元年(1804)7月河原崎座で、四代目鶴屋南北と提携した天竺徳兵衛の早替りで大当り、以後も南北の作に出演し怪談役者の異名をとった。文化6年初代松緑と改名。松助は、天明7年(1787)5月中村座、寛政7年(1795)5月河原崎座、享和元年(1801)9月河原崎座、文化元年9月河原崎座の4度由良之助を演じている。