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                中国では、現在も多くの伝統行事の中で、最も重要なものが「春節」です。春節には 、家の中の扉や壁に「年画」を貼って飾ります。年画の画題は新しい年の慶祝や、子供の道徳教育、そして芝居や物語を楽しむものなど様々です。その多くは吉祥の意味を持っており、中国民衆の新しい一年の幸福に対する祈願が込められています。現在の都市部では、赤い紙に「福」のような縁起の良い文字を書いた「春聯」が飾られますが、地方では今も年画が多く飾られています。 この展示コーナーは前半で伝統的な年画として山東省楊家埠の木版年画を紹介し、そして後半では現代の年画作品を紹介することで、長い歴史と広大な国土の中で多様な拡がりを持つ年画に通底するなにかを感じ取っていただきたいと思います。 【主要参考文献】 日本語 陶思炎(1995)「虎に関する図と俗習の文化検討」『比較民俗研究』12、pp.124-127 樋田直人(2001)『中国の年画――祈りと吉祥の版画』大修館書店 辻(川瀬)千春(2002)「年画を通してみた世相史−−建国直後〜90年代」『桜花学園大学研究紀要』4、pp.267-288 張憲(2019)「中国・山東省楊家埠における伝統的な年画制作と1950年代の年画改革運動」『民族芸術』35、pp.113-121 中国語 程硯秋・杜穎陶(1954)「寒亭の年画」『民間文芸集刊』第二冊 王樹村(2005)『中国年画発展史』天津人民美術出版社 張殿英・張運祥(2013)『潍坊木版年画』生活・読書・新知三聯書店 蒲嬌(2016)「从杨柳青年画看天津集体文化性格」『2016年秋 年画研究』文化藝術出版社 楊先譲(2016)「老生常谈年画」『2016年秋 年画研究』文化藝術出版社 王丙 主編(2017)『潍坊統計年鑑ー2017』中国統計出版社 ▲《春牛図》 楊家埠凧有限会社製・木版年画 サイズ:180x320mm 「一年の計は元旦あり」ということわざがあるように、立春は二十四節気の始まりとして人々に重視されてきました。立春を祝うさまざまな伝統行事の中の一つが家に《春牛図》を貼ることで、新しい一年の気候が穏やかで、家畜が健やかに育ち、農作物が豊かに実りますようにという、民衆の素朴な祈願が含まれています。 
はじめに
					
