はじめに

所蔵:立命館アート・リサーチセンター

資料番号:arcKDC006-026-002-021

素材:紙

分類:図案

 本展では、大正・昭和初期に作られた型友禅の図案から特に「旅」や「異国情緒」あふれる図柄を集めました。友禅とは、着物の反物に模様を染める技法のひとつであり、手描き友禅と型友禅の2種類に大別されます。

 日本では、近世より「お伊勢参り」や「富士詣」等の巡礼の旅が盛んに行われるようになり、特定の特徴ある場所を表す名所図会が存在してきました。浮世絵の画題の一つである東海道五十三次はその一例です。明治時代に入ると、人力車や乗合馬車、汽車など徒歩以外の交通網が整備されたことにより、国内の旅はより身近な娯楽へと変化していきました。また目新しい舶来文化が続々と流入してきました。それを受けて、きものの図柄にも舶来品や新しい娯楽、時事を描いた着物が登場しました。それはちょうど現代のTシャツに有名な絵画やスポーツチームのロゴマークがプリントされているのと似ています。ただし、Tシャツと決定的に違うことは、当時この様な新奇な柄を着ることが出来た人々は限られていたということです。

 本展で展示している図案は、立命館アート・リサーチセンター(ARC)にて2006年頃から収集され始めたものであり、戦前の京都の染織会社の資料と考えられています。ARCには、本資料の他にも京都市内の染色業者が廃業した際などに手放され、寄贈された物や古書店から購入した着物図案が約1万5000枚所蔵されています。

arrow_upward