辻番付「御文章石山軍記」の板木

東京・春木座辻番付「御文章石山軍記」板木(鏡像表示)
明治16年(1883)8月28日
横67.5×縦34.4cm
個人所蔵

辻番付は、現代のポスターにあたり、歌舞伎の興行よりも前に貼り出したり配布したりした番付です。辻番付は、興行の内容を絵で示しながら、大名題(展示品の場合は「御文章石山軍記」)や、興行の初日、役人替名(配役)を人々に知らせ、興行を宣伝する役割がありました。ポスターに当たるわけですから、番付の中では最も大きなサイズになります(時代により辻番付の大きさには変遷があります)。そのため、一枚板で板木を準備することは難しく、いくつかの木片をつなぎ合わせて板木を構成することになります。こうした手法は番付に限らず、大きなサイズの印刷物では同様の手法が採られます。展示品の場合では、実に20以上の木片を接合して一枚の板木を作り出しています。辻番付の場合は、細かな部位に分けて彫りを分担し、大急ぎで製作できるように板木を断片化しているという説もあります。

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