ボロブドゥールの浮彫:隠された基壇のKarmawibhangga(『分別善悪報応経』)その1

ボロブドゥール基壇部分(東南角)
8~9世紀
中部ジャワ州マグラン県、インドネシア

 ボロブドゥールは、その建造途中において、少なくとも二度、設計方針の変更があったと考えられています。そのうちの一つが基壇部分を覆う石積みの擁壁(ようへき)です。 本来、基壇部分には、"Karmawibhangga"(Culakammavibhangaカルマヴィバァンガ。漢訳経典の『分別善悪報応経』等に相当)に基づく浮彫が配置される予定でした、しかし、基壇の大半が完成に近づいたところで、その表面は擁壁で覆われてしまったのです。このような設計変更の原因の一つとして、建造途中において、倒壊を防ぐ目的で補強されたことがあげられています。
 現状、基壇の東南角の部分のみ、擁壁内側の当初の部分が確認できるように保存されています。本来配置された基壇浮彫を見ることができるのは、全160面のうち、この東南角にある5面(うち1面は半分のみ)にすぎませんが、そこから、造営当初の基壇の様子をうかがい知ることができます。

▼基壇のうち露出した東南角の拡大です。下段部分に浮彫が確認できます。

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