《獣中之王》

楊家埠・恒興義《獣中之王》

木版年画(上)線稿(下)

サイズ:220x320mm

前紹介した家の通りに面した扉に貼る神荼と鬱塁と違って、虎や鶏のような動物が主題である門神年画は裏門に貼られていました。

悪鬼を食べてくれる伝説があるように厄除けの効果も期待されています。また、金銭虎、金鶏の描かれた動物の年画には、動物の足元に財宝や宝物を描くものもあり、幸福や財運をもたらす寓意が含まれています。

百獣の王」と言えば、日本では獅子を指すことが多いですが、中国では虎になります。

中国文化において「虎」は大きな存在感を持っています。古代中国では、虎図と虎習俗は厄除けの呪物として、墓、建築物及び服飾、器具などによく使われ、墓と建築物を守護し、身を守る役割を果たしていました。扉あるいは壁に住宅を守るために虎図を貼って道教の符を加え、農家の赤ん坊生後一ヶ月になると、虎帽子を被り、虎の靴を履かせます。昼間に虎鞄を被ったり、夜になると虎枕を使う子もいます。虎図は子どものお守りだけではなく、大人のお守りでもあります。漢の時代の衣服に使うボタンはよく虎の形に彫られており、厄払いを期待されていました

習俗の中の虎図は単なる自然界の猛獣ではなく、特定の社会の中に継されている文化符号です。機能が明確化されている象徴として、物質的・精神的また社会的な多重属性を持っています。

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