名所 保津川

所蔵:立命館アート・リサーチセンター

資料番号:arcKDC006-012-017-046 <br>

素材:紙 <br>

分類:絵刷り

 渓流に松が描かれ、墨書で保津川と書かれています。川を題材にした図案として、有名なものに竜田川紋が挙げられます。竜田川は奈良県生駒郡を流れる川で紅葉の名所として知られています。着物の文様としては流水に紅葉が描かれます。

 本図に戻ると松の他に紅葉の様にもみえる葉も描かれていますが、なぜあえて保津川が描かれているのでしょうか。保津川は亀岡から嵐山までを流れる渓流です。古くは、物資を輸送するために利用されていましたが、一年を通して美しい自然がみられるため明治中期頃から遊船として観光客を乗せた川下りがはじまりました。つまり保津川は、スリリングな川下りという新しいアトラクションがある、新鮮味のある名所でした。

 実際に着用した人が保津川と認知していたかは分かりませんが、これを描いた図案家は新しくできた名所へ関心を寄せていたことが分かります。

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