華影新片特刊(映画) ②

これはちょうど表紙をめくったところの見開きのページです。右上には女形姿の秋海棠(右)が他の役者と共にいるショットです。右下には仰向けになった秋海棠が映っており、おそらく顔面を傷つけられて気を失っている場面かと思われます。

左には「三言両語」とあり、原作者の秦瘦鴎の短文が寄せられています。特筆すべきは、『秋海棠』の舞台上演をみた日本の映画会社の服部氏がいたく感動し、帰国後劇作家の郷田恵洲氏に『花桐いろは』という歌舞劇に改編させたというエピソードを記して、光栄に感じていることを書いています。『花桐いろは』は、1998年に大阪松竹座で上演されたという記録が残っています。『秋海棠』の旅は尽きることがありません。

実は1965年、羅臻監督の香港映画『紅伶涙』(ショウ・ブラザーズ)が公開されます。『秋海棠』のリメイクで、女学生から軍閥の妾になった羅湘綺(香港版では羅香琦)は、ここでは秋海棠(香港版では秋漢堂)と同じく京劇役者となって登場します。さらに女形だった秋海棠はここでは男性を演じる役者として登場するなどかなりの改編が加えられました。特筆すべきは、43年版の映画のヒロイン役だった李麗華が、20年の時を経てここでも羅香琦役として出演していることです(梅宝役は凌波という女優が演じました)。

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