3.5.5.南総里見八犬伝(歌舞伎)

絵師:豊国〈3〉
判型:大判/錦絵

作品名:里見八犬士之一個 犬飼現八信道・犬塚信乃戌孝
配役:犬飼現八信道  〈4〉坂東 彦三郎、犬塚信乃戌孝〈8〉市川 団十郎
資料番号:arcUP3981~80 所蔵:立命館ARC

 『南総里見八犬伝』は、読本として広く人々に親しまれただけでなく、歌舞伎としても上演された。本作品は、歌川豊国(三代)による役者絵で、読本に登場する八犬士の物語が役者の姿に置き換えられて描かれている。

 歌舞伎化された『南総里見八犬伝』では、原作全体をそのまま上演するのではなく、八犬士の活躍や見せ場となる場面が取り上げられた。『八犬伝』が歌舞伎に脚色された例としては、庚申山の場や「犬伝之内芳流閣之場」などが知られている。本作はまさにこの「犬伝之内芳流閣之場」が演じられている場面を描いている。

このように、『南総里見八犬伝』は、読本として読まれる物語から、歌舞伎として演じられる物語へと展開した。さらに、その舞台上の人物像は役者絵として出版され、劇場の外でも楽しまれるようになった。読本の挿絵と歌舞伎の役者絵を見比べると、同じ物語が文章・挿絵・舞台・浮世絵へと姿を変えながら広がっていったことが分かる。これは、江戸時代におけるメディアミックスの一例といえる。(宮﨑・戸塚)

arrow_upward