B1-04 藤吉郎初陣

 日吉丸はその後、今川義元に仕える松下之綱の家来となり、元服して、中村藤吉郎高吉と名乗った。弘治三年(1557)、今川義元が北条氏政、氏直父子と富士川で戦いを交えた時、松下は藤吉郎の出陣を許さなかったが、藤吉郎は具足を借りてひそかに戦場に赴き、初陣の高名の機会を窺っていた。すると、北条の勇将、伊藤日向守が一人、堤に馬を止めて味方の勢が退却するのを見守っているのを見つけた。藤吉郎は槍で日向守の馬の腹をしたたかに突き、落馬した日向守の首を打ち落として松下のもとに戻る。驚いた松下が日向守の首を今川義元に披露すると、藤吉郎は義元にお褒めの詞を賜る。

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