01 野郎虫

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万治3年(1660) 京都で刊行。中本1冊

歌舞伎役者の評判や芸技評を記した「役者評判記」の内、現存、最古のもの。これ以前には、明暦2年(1656)に「役者の噂」という本のタイトルが伝わっているのみである。

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それまで若衆による歌舞伎が行われていたものが禁止され、成人男子(野郎)のみによる芝居の興行を条件に許可された歴史があり、したがって、「野郎」とは「役者」を指す語である。すなわち「野郎虫」とは役者を愛玩すると意味である。

これまで、稀書複製会本、天理大学図書館本などが知られていたが、本書には表紙に題簽が残っているのが新発見である。題簽題に「四条河原」の文字がみえる。また、天理本には墨書による汚れがあるが、本書では墨によってみえなかった部分も明瞭に確認できる。