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2008年07月22日

●研究会報告・横光利一『上海』と黒島傳治『武装せる市街』

第3回研究会報告
テクスト・横光利一『上海』
      黒島傳治『武装せる市街』(日本評論社 1930・11)
報告者・三上聡太氏 参加者・4名
今回の報告では、横光利一『上海』の先行研究を概観しながら、作者の外地体験と作品を単線的に結びつけてよいかどうか、という問題提起がなされた。
報告者は、まず修士論文であつかった黒島傳治の『武装せる市街』について、作品が単に作者の体験ばかりでなく、先行するテクストや伝聞など、様々な情報に基づいて構成されていることを指摘した。作者・黒島は1929年に帰国しているが、単行本が刊行されるのは一年後であり、その間にも執筆のための調査を続けていること、従って作者の外地認識も一様でなく執筆過程で揺れ動いているという指摘が興味深かった。
同様に横光の作品についても、作者の外地体験と作品成立までの過程を、本文の揺らぎも含めて精密に分析する必要があるという提言がなされた。

討議では、現在の文学研究が、注釈重視のために資料と本文の関係をおろそかにしがちであるという現状、データベースの発展により資料は手に入りやすくなったが、個々の資料の位置づけや先行研究を踏まえずに簡単に引用してしまう危険性があるということが議論された。

●「外地」文学研究会(第3回)

次回研究会は、以下の予定です。
日時:7月30日(水)17:00~18:00
場所:アートリサーチセンター第2会議室
報告者:三上聡太氏
テキスト:黒島傳治『武装せる市街』(→青空文庫)・横光利一『上海』
      五.三〇惨案(済南事件)の記述の比較

2008年06月25日

●研究会報告・張赫宙「岩本志願兵」

研究会報告第2回・張赫宙「岩本志願兵」
テクスト:張赫宙(発表名・野口稔)「岩本志願兵」
 初出『毎日新聞』1943・8・24~9・9、単行本『岩本志願兵』(興亜出版社 1944・1)
報告者:任時正氏  参加者:4名

今回の報告は、日本語で創作し活躍した朝鮮の作家・張赫宙の作品を取り上げた。
「岩本志願兵」は、1938年から実施された志願兵制を主題に、主人公の「私」と、志願兵訓練所でよりよき「日本人」になろうと努める「内地育ち」の少年・岩本との出会いを描いたものである。
報告者は、作中で度々述べられている同祖論について、作者の教育体験、特に恩師・大坂六村の影響による朝鮮古代史への関心の高さを指摘した。また「内鮮一体」や協和会のような当時の「皇民化」政策の実態について触れながら、その動向に沿うような形になってしまった40年代の張赫宙の活動を、いかに位置づけるかという困難を論じた。
討議では作中の「丸岡学院」のモデル、他の志願兵小説との比較、同祖論の背景、高麗神社と皇族の関係、朝鮮の土俗に対する作者の意識、等について質疑があった。

●「外地」文学研究会(第2回)

次回研究会は、以下の予定です。
日時:6月25日(水)17:00~18:00
場所:アートリサーチセンター第2会議室
内容:張赫宙「岩本志願兵」
報告者:任時正氏(本学研究生)

2008年05月21日

●研究会報告「梶山季之と朝鮮」

研究会報告第1回「梶山季之と朝鮮――「族譜」を中心に」(報告者:楠井)
17:00~18:00 アート第二会議室にて
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2008年05月01日

●「外地」文学研究会(第1回)

活動内容
水曜日17時~18時(月一回)、於アートリサーチセンター第2会議室
以下の日程と内容で講読予定。
5/21 梶山季之と朝鮮
6/25 未定
7/30 黒島伝治と上海 
8/   未定