後見

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こうけん


総合


歌舞伎

歌舞伎の舞台で俳優の蔭に控えいて演技の補助を勤める者。 小道具の受け渡し、衣裳の手伝い、合引や床几を出すなど一切の世話をするので、仕事は多くまことに熟練を要する。俳優の子弟がこれを勤め、目立たぬように黒衣を着ている。しかし舞踊劇大時代の古典劇などになると、紋付・鬘・裃をつけて、登場人物の一人として公然と舞台で活躍する。この後見のよしあしは、直ちに演技に響くので重要視されるが、ことに舞踊の場合には難かしく、演者と同等あるいはそれ以上の実力のものが勤める。


能狂言

能の中で、紋付・袴姿で演者を補佐し、舞台を見守る役を指す。通常は、後見座と呼ばれる囃子方の後ろなどの目立たない場所に座り、必要のある時のみ立ち役の演じる舞台上の場所に出てくる。通常は二人で、ときとして三人になることもある。 シテの後見はシテ方に属する人物が担当する。後見全体の役割としては、動きで乱れるシテの装束を適宜整えたり、作リ物の出し入れをしたりするシテの補助が含まれているが、そのうちの一人はシテと同等あるいはそれ以上に熟練した演者で、シテが絶句した時にをつけたり、シテが何らかの理由で途中で演じ続けることができなくなった場合、即座に本舞台に出て代演したりする重い役割を担う。ワキ方、狂言方、囃子方にも後見がつくことがある。囃子方の後見はたいてい実演する囃子方の役者ほど熟練した演者ではなく、音の響きにくくなった楽器を曲の途中で新しい物に取り替える役割が主体である。