春日竜神

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かすがりゅうじん


画題

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解説

東洋画題綜覧

能の曲名、栂尾明恵上人、入唐渡天の志を立て、御暇乞に春日神社に参詣すると宮守の老翁が、明神は上人の参詣の時を待ちかね給ふほどであるのに、今仏法の弘まる日本を離れて、唐天竺に仏跡をたづねるのは神慮に背くと止め、この国はそのまゝ聖跡であると告げて消失する、後段八大竜王、その他の諸王、諸の眷属を引きつれて現はれ竜王立つて舞ひ、釈尊の誕生より入滅までの有様を見せ上人が志を翻へしたのを聞いて猿沢の池に入つて消える、古今著聞集の所載から作つたもの、作者は元清、前シテ宮守、後シテ八大竜王、ワキ明恵上人、場所は大和春日である、一節を引く

「竜女が立ち舞ふ波瀾の袖、白砂なれやわだの原の、払ふは白玉立つは緑の、空色もうつる海原や沖行くばかり月の御舟の、佐保の川づらに浮かび出づれば、「八大竜王は「八つの冠を傾け、所は春日野の、月の三笠の雲に上り、飛火の野守も立てて見よや、摩耶の誕生鷲峰の説法、双林の入滅こと/゙\く終りて、是までなりや明恵上人、扨入唐は、「とまるべし、「渡天は如何に「渡るまじ「扨仏跡は「尋ぬまじや、「尋ねても/\も此上嵐の雲に乗りて、竜女は南方に飛去り行けば、竜神は猿沢の、池の青波蹴立て/\て、其丈千尋の大蛇となつて、天に群がり地に蟠りて、池水を返して失せにけり。

此の竜神の舞のところ能画に描かるゝもの多い。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)