双蝶々曲輪日記

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ふたつちょうちょうくるわにっき


総合


歌舞伎

浄瑠璃、九段、世話物竹田出雲、三好松洛、並木千柳合作。寛延二年(1749)竹本座。「寿の門松」(享保三年、近松門左衛門)の山崎与次兵衛の子与五郎と遊女吾妻の恋物語に、「昔米万石通」(享保十年、西沢一風等)の力士濡髪長五郎と放駒長吉の達引をからませたもの。今日では二段目の「角力場」と八段目の「引窓」が上演される。 関取濡髪長五郎は、恩人の子与五郎のために、その恋人吾妻の身請に奔走するが、吾妻に横恋慕の平岡郷右衛門が身請するという噂を聞く。この平岡には関取放駒長吉が肩を入れているので、濡髪は晴れの勝負に勝を放駒に譲って、放駒に平岡の吾妻身請を思い止まらすように頼むのだったが、勝ち誇った放駒は聞き入れずに喧嘩になる(角力場)。その後二人は和解し義兄弟の縁を結び、与五郎のために共に力を尽すが、濡髪は吾妻を奪った平岡を殺害し、実母のいる八幡村へ落ちて行く。すでにお尋ね者となった濡髪を捕えようとする義理の兄庄屋代官の南与兵衛は、母の心を察して手柄を捨てて逃してやる(引窓)。 「引窓」は詩情ゆたかな名作で、引窓をつかった舞台技巧もすぐれている。初世中村雁治郎の当り芸であったが、中村吉右衛門も彼独自の与兵衛を創始して好評だった。