B1.4 大量部数への対応.

作品名:「明治八年 大阪錦画新聞」「第十一号」
絵師:芳滝
判型:中判錦絵
出版:明治8年(1875) 石川屋和助
所蔵:立命館ARC(arcUP7224)

B1.3と、本作品は、記載されている情報は、全く同じであるが、絵の具やボカシなど摺りが異なる。木版画の場合、時期や摺り師が異なれば、当然結果は異なるが、実は詳細に比較すると、板木自体が異なっている。とりわけ、文字の位置が2作品では異なっている。錦絵新聞の場合、短期間で大量の部数を印刷する必要があるため、複数の板木を用意したり、文字と絵画部分の板木を分けるなどの工夫により印刷の効率を上げていたようである。(a)

「大敵不可恐 大日本演劇第一等 方今俳優之長者 小敵不可侮」「近年伎芸に長じたる人財にとぼしきより一両年前。其業修行のため東上せし俳優中村宗十良を。迎て一劇場を。興行せんと思ひ立たる人ありしより事を起し。種々議論を。生じ。開業もやゝ延引に及しかども。不日。事済して初日を出したり櫓町の景況。近年稀にして。数本の幟りはヒイキの風に。ひるがへりて。行人の眼を驚かし。遣はし物は。両側に嵩くして道路を狭む。前狂言は宇都宮手斧始。切は開花春東京新聞と題して。見る人に勧懲をさとせり。方今の気運に叶ひて。頗る大入をなせり。コハ俳優の勉強に出るといへども。また弱きを救ふ浪花男の気性より。いづると。いはずるべからず 応需 九化筆記」

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