B1.5 西南戦争を描く.

作品名:「熊本安政橋戦争之図」
絵師:貞信〈2〉
判型:大判錦絵
出版:明治10年(1877) 砂越 新八
所蔵:立命館ARC(arcUP8178,8179,8180)

二代貞信は、西南戦争が勃発すると早速、これも題材にした。新聞錦絵と同じく、浮世絵にジャーナリスティックなメディアとして新たな可能性を見付けたのに違いない。国内ではあるが、遠く離れた地で起きた最後の国内戦の戦況を、画中の記事と相俟って、ヴィジュアルに刻々と伝えている。(a)

画中記事:
鹿児島暴徒の先陣篠原国幹の一隊 熊本県下へ乱入して四方の街
道より城を取囲み 羽間川 高瀬川 植木 白川 南の関等の各所に於て
屡々戦争ありしかど 何れも官軍勝利なるかゆへ 暴徒等先途の大
破を償んと 二月二日の夜 安政橋の橋下に伏兵を置き 鎮台兵出張
の横を討て一時不意の勝利ありしかど 翌日高瀬口にて多く討死せり