A1-4 乙姫と竜女

「和漢美男伝」「浦島太郎 竜女」
絵師:歌川国輝 〈1〉 判型:大判錦絵
上演:嘉永年間(1848~1855)
所蔵:舞鶴市糸井文庫  作品番号: 02ホ29.

【解説】
 ここで描かれている男性は浦島太郎である。では対になる女性は乙姫かと思いきや龍女と書かれている。確かに龍とともに描かれていて、なんとも不思議な光景である。しかし、一般的に知られてる乙姫とは龍以外に異なる点というのも見当たらない。この龍女という女性は乙姫と同一視してもよいのではないのだろうか。
 「和漢美男伝」とあるようにこの絵の主人公は浦島太郎の方である。当時、浦島太郎を表現するのに使われた材料は「釣り竿」「亀」「ひょうたん」そして「龍女」だったのだろう。現代だと違和感を感じるような龍女と浦島太郎という組み合わせも、当時の人にとってはなんら不自然なことではなかったことがわかる。それほどこの二人は同時に語られることが多い二人だったのである。