ごあいさつ

 立命館大学アート・リサーチセンターは、日本におけるデジタル・ヒューマニティーズ(情報人文学)の研究拠点として、活動を続けてきました。現在は、文部科学省「共同利用共同研究拠点」としての認定を受け、国内外の研究者が、デジタル技術や環境を利用して日本文化の研究を推進できるよう、研究支援をしています。
 なかでも、力をいれて開発してきた文化資源デジタル化技術によって、センターには、世界中に散在する数多くの研究資源がデジタル・アーカイブされてきました。
 一方、デジタル化の技術向上のため、原物資料の収集にも力を入れております。その結果、デジタル資源と原物資源を組み合わせることにより、原物資料を借用することを最小限に抑えて、さまざまな展覧会を実現することができるようになったのです。アート・リサーチセンターの展覧会では、WEB上に展開するデジタル展示を展覧会の開催と同時に公開しており、リアル展示が終了しても、その展示内容をいつでも確認することができます。
 こうしたデジタル型文化資源活用の活動は、大学という高等教育の場においては、デジタル環境下における教育活動としても生きてきます。すなわち、本展覧会では、文学研究科文化情報学専修の院生や日本文化情報学専攻の学生諸君が中心となって、展示作品の選定、作品解説を行ない、その一年間の学びの結果を展覧会に結びつけたものです。
 末筆になりましたが、作品の出品をお許しいただきました、所蔵機関の皆様に、心より御礼を申上げます。

主催者

展覧会概要

 みなさんは「英雄」と聞いて、何を思い浮べるでしょうか。スポーツの英雄、アニメの中の英雄、はたまたベートーベンの曲を思い出す人がいるかもしれません。もちろん、歴史上の人物、それも多くの名前を挙げることができるでしょう。しかし、そのなかに女性の「英雄」を思い浮べることのできた人は、おられるでしょうか。
 本展覧会では、日本の歴史に登場する「女性の英雄」にテーマを定めてみることにしました。女性を対象とした場合、何を以って英雄とするのか、その定義自体が男の英雄とは異なってくるに違いありません。
 「元始、女性は太陽であった」という平塚らいてうの言葉を引用するまでもなく、女性の能力は畏怖されるほど高いものであったはずです。
 今回の展示では、「女性の力」の種々相を見定めるコーナーを最初に置き、「源平合戦」という激動の時代に名を残した女性達、「太平記」という政治的混乱の時代に生きた女性達に焦点を当てて展覧会を構成してみました。とくに、「源平」「太平記」は、戦闘や政治の時代であり、まさに男達の時代といえるでしょう。そうした時代の中にいても、なお現代にまで名前が伝わってきている女性達にはどのような「力」があったのでしょうか。
 展示作品のなかからそうした疑問への解答が得られることを期待したいと思います。