A3-3 産女(姑獲鳥) 「和漢百物語」 「主馬介卜部季武」 絵師:月岡芳年 判型:大判墨摺絵 出版:慶応1年 (1865) 所蔵:立命館ARC 作品番号:arcUP5665. 【解説】 産女とは出産で死んだ女性の霊によるもので、多くは血染めの腰巻をしている。そして水辺にあらわれると人に子を抱くように頼むが、その子は最終的に石塔や木の葉などに転じることが多い。各地の民話の中ではこれを受け取り、抱き続けた人には怪力をさずけることがある。 姑獲鳥が「うぶめ」と称される所以は、羽毛を脱ぐと人間の女性の姿になり、夜に空を飛んで子供に害を成す存在であった中国の姑獲鳥が日本の元々の産女と混同されるようになったことが原因とされ、江戸時代ごろからみられるようになった。 『今昔物語集』巻二十七の四十三「頼光郎等平季武、値産女語」において、四天王が一人卜部季武(平季武)が産女に会うのが産女の初出であり、この『和漢百物語』はその場面を描いたものである。この後季武は産女から赤子を受けとるが、館へ帰るとその子は木の葉に転じてしまう。(浅) 「和漢百物語」 「主馬介卜部季武」 絵師:月岡芳年 判型:大判 出版:慶応1年 (1865) 所蔵:ボストン美術館 作品番号:11.37618 続きを読む ≫ ・なぜ水辺に出没するのか 流れ灌頂(かんじょう)の風習が関係していると考えられる。これは通行人に水をかけてもらうことで出産による死者の霊を供養することができるという考えであり、川辺に立てた4本の棒に布を張り、それに柄杓で水をかけることが習わしであった。この場面はA3-4におけるお岩にも関係している。 ≪ 続きを隠す 投稿日:2017年11月23日 by 8P カテゴリ: A 女性の力,A3 妖力 [編集]