A3-2 金太郎母

「山姥と金太郎」「髪そり」
絵師:喜多川歌麿 判型:大判錦絵
発行:寛政末
所蔵:大英博物館 作品番号:1906.1220.0334.

【解説】
 山姥を代表するものに、金太郎の母親がある。金太郎の名は四天王が一人坂田公時として『今昔物語集』に見えるのが初めとされるが、幼少期の描写は江戸に入ってからのことである。先に人気を博すのは公時の息子金平であり、金平の父親として注目を集めていく過程で公時の幼少期も描かれるようになった。そしてこれに伴い晴れて金太郎母(山姥)が誕生するのである。
 本図は美人画が禁止されて以降、その規制を逃れるために描かれた山姥と金太郎の仲睦まじい様子である。この二人は歌麿によって数多く描かれた。(浅)