B1-1 『酒伝童子』

資料名 : 『酒伝童子』
作者 : 三谷永玄(写)
員数・装丁・判型 : 上中下三巻
年代 : 明治頃(写)
資料番号 : arcHS03-0010

 大永2年(1522)頃から狩野派2代目・狩野元信(1477?~1559)らよって制作がはじめられた『酒伝童子絵巻』(サントリー美術館所蔵、以下サントリー本)を基にして、多くの酒呑童子絵巻が制作されることとなった。サントリー本は戦国時代の武将・北条氏綱(1487~1541)の依頼によって制作され、北条氏滅亡ののち、北条氏直の妻・督姫(徳川家康の次女)が池田輝政へ再嫁する際に池田家へ持参された。徳川家の血統を証明する宝として池田家で珍重される一方、御用絵師から大名、町人に至るまで広く人々の目に触れる機会がたびたびあったという。
 本作は詞書・挿絵ともにサントリー本の模本である。各巻の奥書には「三谷仁右衛門」の名が見え、三谷永玄(?~1724)をさすと考えられる。永玄は中橋狩野家の祖・狩野安信(1613~1685)に学び狩野の姓をゆるされ、のちに筑後久留米藩の御用絵師となった。奥書に「寛文六年午ノ菊月吉祥日 所持三谷仁右衛門」とあるが、寛文6年(1666)に永玄が模写したものを後世に模写した作品であると考えられる。部分的に彩色が施され、各登場人物の装束の上に「アサキ」(浅黄)や「グン上」(群青)など色についての指示が書き込まれている。詞書の仮名遣いや字の配列等はサントリー本と異同が確認されるが、図様は血しぶきの飛び散り方までも忠実に写し取り、一貫して原本に忠実であろうとする姿勢が見える。

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