5.3 夏祭浪花鑑(nakai0939)

9段、7行本 世話物
並木宗輔(1695~1751)・竹田小出雲(1691~1756) 合作、延享2(1745)年 大坂竹 本座初演、

翻刻 『浄瑠璃集 上』 日本古典文学大系51 (岩波書店 1960)

 この章でとりあげた4点のうち、他の3点は時代物であるが、これは世話物である。『歌舞伎事典』(3)の「世話物」についての記述は下記の通りである。

江戸時代の町人社会を中心として扱った、当時の現代劇である。上方の世話物は、内容二系統の作品がある。一つは極物、一夜漬狂言などといわれ、街に起きた心中事件や情痴の果ての殺人事件などを直ちに舞台化した。いま一つは《雁金五人男》《双蝶々》《夏祭》など、相撲取や侠客の義理人情を扱う作品である。 

 本作は、殺人と侠客を扱っている。十八代中村勘三郎が、ニューヨークで本作を公演したが、歌舞伎が初めてという人たちにうけたということである。