4.5 おわりに

 狂歌の本3点と狂詩の本1点の解説をした。当文庫では、狂歌の本が最も多く285点である。最も古いものは、半井卜養の詠の『卜養狂歌集』で、延宝9(1682)年刊(nakai1482)である。その後、享保末から明和(1729~1770)までには、油煙斎貞柳・栗柯亭木端など、上方の狂歌師が編纂したものが多い。天明3年(1783~)からは、大田南畝・石川雅望・朱楽菅江などの江戸の狂歌師が編纂したものが多くなる。

 文化・文政・天保期(1804~1845)は、狂歌本の点数は多いが、有名な狂歌師のものは少ない。弘化以降(1845~)は、刊行の点数そのものが少なくなる。

 前述「狂歌合」の募集のための引札等(nakai0805) の一紙ものは、109点であるが、「不及入花」として入花料を取ってないもの、また、書かれていないものがあるが、30点については入花料がわかる。俳諧でも前句付け等、同じようなことが行われていた。これについての出版物は、狂歌とは比較にならないぐらい多い。しかし、入花料についは、宮田正信氏(3)の著作に9つのデータあるのみである。したがって、この引札は貴重な資料であると考えられる。引札と募集の結果に基づいて刊行された版本が8組あるが、これらを調べれば、興味ある結果が得られる可能性がある。