2.2 景政雷問答(nakai0132)黒本青本
-
-
黒本青本についての『日本古典文学大辞典』の記述を要約すると下記のようになる。
江戸の地で赤本についで創設され、黄表紙に引き継がれる。名称は表紙の色による。内容は浄瑠璃の絵解き、英雄一代記、化物話、異類物等があり、当世風の見立てや駄洒落も入ってくる。新刊は青本で出し、再摺の時黒本にすることが行われ、同じ作品が両様にわたる例も多いので一類と考える方が適切であろう。所在のわかる作は不完全書も含めて770部ほどである。(鈴木重三、木村八重子記)
当文庫の黒本青本は9点であるが、完全なものは2点である。本書の1丁オに「かまくらの権五郎かけ政」とあるが、景政は、鎌倉権五郎景政である。五郎景政は平安時代末期の武将で、後三年の役(1083~1087)で活躍、鎌倉の「権五郎神社」の主祭神である。また、歌舞伎十八番の「暫」のモデルとされている。