1.6 おわりに

 幕末の歴史書に関し、叢書2点、写本3点の概要を述べるとともに画像を紹介することとした。『信州地震』には各所の被害状況について、各人の体験に基づいて書かれている。被害について、『理科年表』には、一つのデータしかなく、出典が書かれていない。これは、『理科年表』という本の性格からして、問題があるような気がする。

 『異船聞書』には、久里浜に上陸したペリー一行の詳細が書かれている。このような史料がすでに明らかになっているかどかは不明であるが、黒船の研究に役立つと思う。

 「桜田門外の事件」について、彦根藩士の被害、暗殺に参加した人たちについて、「異なったデータがある。情報源が異なるのか、写すときの間違いなのか、歴史書の写本は、引用するときには、慎重にしなければならないと思う。

 「水戸天狗党」については書かれたものが多い。前述の『天狗争乱』にも、水戸藩内における抗争および水戸を出発してから敦賀で投降するまでの行動について書かれている。また、昨年のNHKの大河ドラマ「晴天を衡け」にもでてくる。

 歴史の事象は、常識とされていることにも誤りがあることがある。以前、高等学校の歴史の教科書に書かれていること(7)、『国史大辞典』等の辞典類に書かれていること(8)の誤りを指摘したことがある。歴史に関するものが49点あり、叢書のなかにも歴史に関するものが33点ある。これらが歴史を研究している人たちの参考になれば幸いである。