A3.2東洲斎写楽
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〈3〉市川高麗蔵
絵師:東洲斎写楽 判型:大判錦絵
出版:寛政6年(1794)
所蔵:浮世絵大家集成14 作品番号:BN03828711-1-06東洲斎写楽は、印象的なデフォルメされた役者絵を描いた絵師で、現代において非常に人気がある絵師ですが、その素顔は未だ謎に包まれています。作画時期も寛政6年5月から10ヶ月のみで非常に短いことが特徴です。その短い期間の中で残された作品の中で特に注目を集めるのが、本作を含む、初期に描かれた黒雲母潰しの大判大首絵の作品群です。これらの作を見れば、勝川派の大首絵、大顔絵の影響を多分に受けていることがわかるでしょう。つまり勝川春章に始まった『東扇』などに代表される「大首絵」が、勝川春好によって「大顔絵」となり無背景に役者の顔を大胆に描く手法が確立され、本作はそのような春好の作例に学んでいることが覗えます。勝川派は写楽のルーツの一つと言えるでしょう。(戸)