A3.1葛飾北斎

正宗娘お連 瀬川菊之丞
絵師:勝川春朗
判型:細判錦絵
出版:安永~寛政期
所蔵:東京国立博物館 作品番号:A-10569-2864

現在葛飾北斎の名で一般的に知られる浮世絵師は、安永7(1778)年から寛政6(1794)年まで勝川春朗という画号を使い、勝川派一門の絵師として活動していました。本作はその頃の作で、瀬川菊之丞を描いた役者絵です。他にも春朗の名で役者絵を複数残しているほか、春章が手がけていた役者絵以外の浮世絵―美人画や相撲絵など―も学びました。しかし春章が亡くなった2年後、30代半ばで勝川派から距離を置き、自らの画風を開拓していきます。勝川派を出た後の北斎の画風には勝川派を思わせる作例が殆どありません。しかし多数の代表作を生み出す礎には、春章に学んだ勝川派での活動で築かれたものが多分にあったことでしょう。(戸)