A2.3勝川春英のおし絵形

おし絵形「春駒」
絵師:勝川春英 判型:大判錦絵
出版:寛政期
所蔵:浮世絵大家修正13 作品番号:BN03828201-2-07

多くの門人を擁し勝川派の発展に処した高弟が勝川春英です。元来歌舞伎を好み、自ら三弦や義太夫に励んだという春英は役者絵や歌舞伎の所作事を多く描きました。保守的な春好の重厚な描写に対し、明るい軽妙な筆致が特徴であるとされます。本作はそんな春英の所作事を描いたシリーズ「おし絵形」の一図です。押絵とは絵の各部分を切り抜いて布などで包み、厚紙や板に貼り付けて絵に再度組上げる細工物の一種で、現在でも羽子板などに用いられます。本作題名はこの押絵の型紙手本の意であると考えられます。
本作は「春駒」を描いており、これは新春の幸福を祝う門付芸の風俗を取入れた歌舞伎所作事です。当時歌舞伎所作事が隆盛しており、春英はその流行を敏感に捉えながら、自身の軽妙な筆致を活かす作画を本作で呈しました。(戸)