H09関の扉(ぶっ返り)

「大伴黒主」
絵師:国綱 版型:大判/錦絵
上演:安政5年(1858)11月12日江戸・市村座 
外題:「小春宴三組杯觴」「積恋雪関扉」
資料番号:arcUY0242 所蔵:立命館ARC.

【解説】
 登場人物が本来の性格または身分を隠して他の性格、身分を名のり、また妖怪などが化けている場合は他の人物がこれを看破し、自身が本体を顕して本名を名のる時に使われることを「見顕し」という。左図のような関守関兵衛が見顕されて、その瞬間に「ぶっ返り」という手法を使って、本図のような黒主の衣裳にがらりと替る。
arcUP3051a.jpg 「ぶっ返り」は、「引き抜き」の一種であるが、上半身の衣裳の糸を抜くと、それが腰を境に裏返しに垂れて、下半身を覆う。裏面の模様と下に着込んでいた上半身の衣裳が一致して、全部が変わったように見えるという方法で、ある人物が本名を名乗る時や妖怪が本性を顕した時に使われ、一瞬でまったく違った印象の舞台衣装になるため、劇的効果を高めるのに役立つ。(坂.)

【用語説明】
積恋雪関扉