〈あらすじ〉
宝田寿萊作の所作事である。本命題「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」。逢坂の関を守る良峯宗貞は、偶然通りかかった恋人の小町姫に逢う。宗貞は、関守の関兵衛の態度を怪しみ、注進のため小町を味方のもとへ走らせる。関兵衛は実は天下を狙う大悪人大伴黒主で、天下調伏の護摩木にしようと、そばの桜を切ろうとする。桜の精が黒染という傾城姿であらわれ、廓話(くるわばなし)のうちに黒主の正体を見顕す。
顔見世狂言として上演されたために筋は分かりにくいが、舞踊としては古態をもち、宗貞と小町の恋物語、黒染の廓話関兵衛の生酔の振りなどが見所である。
この作品では関兵衛が天下を狙う大悪党の大伴黒主(右の絵の人物)として本性を現す時にこの見顕しの手法が使われている。
【参考文献】
『歌舞伎をつくる』(青土社)
『歌舞伎大道具師』(青土社)
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